慢性的に血圧が高く維持された状態
血圧がある程度の範囲を超えて慢性的に高く維持されている状態を高血圧と言います。
心臓は血液を血管に送り出すときにポンプのように伸縮していますが、血液が流れるときに血管にかかる圧力が血圧です。血圧には収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)があり、その両方の数値を測定します。高血圧は、最高血圧が140mmHg以上あるいは最低血圧が90mmHg以上の場合をいい、正しくは高血圧症と言います。
血圧の高い状態が続くと、血管壁が圧力によるダメージを受けます。するとこの壁が厚くなったり、硬くなったりする動脈硬化の原因になり、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病などを招きやすくなるのです。
食生活の乱れや運動不足が影響
高血圧の原因は、まだはっきりと特定はされていませんが、遺伝的要因(子どもが高血圧症になる確率として、両親とも高血圧症であれば約60%、片方の親が高血圧症であれば約30%、両親がともに正常値であれば約5%という統計があります)と食生活(塩分の摂り過ぎ)や嗜好品(タバコ・お酒など)の過剰摂取、運動不足や精神的ストレスなどの環境要因が重なることによって引き起こされると考えられています。
1日6g未満の減塩に努める
治療にあたりまず行うのは、食事療法です。食塩摂取量を1日6g未満(即席麺や梅干し、塩鮭など塩分の多い食品を控える)とし、栄養バランスのとれた食生活を行います。野菜や果物はカリウムが含まれており、利尿作用があるので、塩分を排出してくれます。次に適正体重を維持することに努めます。肥満は心臓の負担になります。適正な体重(BMI25未満)にし、常に適度な運動(1回30~60分以上、週に3回以上の有酸素運動)を継続的に行ってください。このほかにも、飲酒・禁煙、睡眠や休養をしっかりとることも必要です。
また、医師から薬を処方されたら、指示通りにきちんと服用してください。治療薬に用いられる主な薬剤は、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、カルシウム拮抗薬、利尿薬、β(ベータ)遮断薬などです。症状によっては、いくつか組み合わされて処方されることもあります。